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ルワンダスタディツアーSTART第15期〜協力隊を夢見る大学生の初アフリカ滞在記〜

アフリカのルワンダでスタディツアーや情報発信をしながら、国際協力機関でも働いています、タケダノリヒロ(@NoReHero)です。

コロナを経て、2年半ぶりに「スタディツアーSTART」を再開しました!2018年9月からスタートしたこの取組み、今回で第15期となりました。すごい!この記事では、今回のSTARTにてどんな場所で、どんな人に出会い、どんなことを学んだのか、参加者の感想とともに振り返ります

参加者

山本真央さん / 大阪大学法学部国際公共政策学科2年

首都キガリでもっとも眺めの良いUbumwe Grande Hotelにて

難民支援に興味があり、今回が初アフリカ。大学の国際協力サークルだけでなく、国内のNPOで定住外国人の子どもたちの教育支援をおこなうなど積極的に活動されています。将来の夢は青年海外協力隊になること、ということで、協力隊経験者が運営しており、現役の隊員たちとも交流することができるこのSTARTに参加してくださいました。

山本さんがルワンダで学びたいこと
・現地で活躍されているNPOや協力隊の人々の姿勢
・ルワンダの人々について(生活習慣、文化など)
・ルワンダ虐殺のこと

今回は上記の山本さんの要望に沿ったプログラムを準備。主催者タケダの告知が遅く直前の募集開始になり、参加者はひとりのみとなってしまいましたが……逆に100%山本さんの意向に沿った1週間を楽しんでいただけました!(ポジティブ)

1日目

ルワンダ講座

映画『ホテル・ルワンダ』の舞台、ホテル・ミルコリンズ

まずはこの1週間を最大限楽しむために、ルワンダの基礎情報を知るところから。「千の丘の国」「アフリカのシンガポール」「アフリカでもっとも治安の良い国」「女性国会議員の割合No.1の国」「ICT立国」など異名や特徴の多いルワンダ。このあたりの情報を、現地在住者の視点や滞在中に気をつけることなどを交えながらお伝えしました。

場所は映画『ホテル・ルワンダ』の舞台になったホテル・ミルコリンズのカフェにて(「Mille Collines」はフランス語で「千の丘」という意味)。映画の主人公はこのホテルの支配人だった実在の人物で、ルワンダ虐殺の際にたくさんの人の命を救った英雄として描かれています。ただし、それは映画のなかのお話。現実世界ではテロリストとして2020年に逮捕されています。そのあたりの事情も説明させてもらいました。事実は小説より奇なり、ですね。。

市街地案内

首都キガリの中心街

首都キガリの中心街を一緒に散策。「ルワンダの第一印象は?」と山本さんに聞いたところ、「道路が舗装されていてイメージと違った」「人がやさしい」「街並みがキレイ」という回答が。そうなんです!日本人からするとネガティブな印象も強いアフリカという地域ですが、実はこんなに素敵な場所なんです。それでも解決すべき課題はたくさんあるので、影の部分もこのツアーで学んでもらいたいですね。

2日目

NPO法人ルワンダの教育を考える会&ウムチョムイーザ学園

国内のNPOで活動している山本さん。ぜひルワンダのNPOの活動も学びたいということで、NPO法人ルワンダの教育を考える会さんを訪問。ルワンダ出身で日本国籍をもつ永遠瑠マリールイズさんが代表を務め、ウムチョムイーザ学園という学校を運営しています。

【山本さんの感想(日記からの抜粋)】
▼NPOルワンダの教育を考える会
教育だけでなく、保健衛生や栄養、保護者のケアまでおこなっていることに驚いた。子どもの教育を支援するためには、他のフィールドからのアプローチも必要なのだと改めて実感した。
▼ウムチョムイーザ学園
幼稚園児でもフランス語で勉強をおこなっていることに驚いた。食育にも力を入れていて、家で食べられない子のために栄養のある食事を提供したり、病気でつらいと言っていた子が栄養失調だったことがきっかけとなってこのプログラムを始めたことなど、本当に子どもたちのことをよく考えて、子どもたちのために働いているのだと思った。学校でも補習や追加の課題などもあり、「誰ひとり取り残さない」と言っていたのが印象的だった。

Tour of Beauty by KISEKI

山田美緒さん代表を務めるKISEKIさんが運営する「Tour of Beauty」に参加。貧困層にあたる現地の人々のお宅を訪問し、生活の様子を学ぶことができました。

【山本さんの感想(日記からの抜粋)】
道は舗装されておらず他の地域との差を感じた。家が建っているところは舗装されていないうえに狭かった。地域の人たちも親しみやすく、ほとんどの人が笑顔で「Hello」と言ってくれた。家は予想以上に狭く、ひとつの空間を寝る場所とキッチンなどに布で分けていた。
▼1軒目
奥さんも日雇いの仕事をしていると聞いて驚いた。この地域の人たちもジェンダー平等を考えて実行しているのだと。夫が仕事のない日は家事をしてくれるのは素敵だと思った。
▼2軒目
話をしてくれた人は病気で仕事をしておらず、夫もいないと知り驚いた。娘がKISEKIで働いているからなんとかなっている。すこし英語も知っていた。笑顔で話してくれ、写真も一緒に撮ってくれた。また行きたいと思ったぐらい優しくしてくれた。
▼全体
どちらも最後にお礼のお金を通訳の人が渡していた。私も地域のことを知れて、向こうもお金がもらえてWin-Winだと思った。道で会った青年も人懐っこく、一緒に写真を撮ろうと言ってくれた。でも2回目に会ったときにソーダを飲みたい(からおごってくれ)と言われてすこし悲しかった。

3日目

キガリ虐殺祈念館

キガリ虐殺祈念館

1994年のルワンダ虐殺(ジェノサイド)の様子を記録した祈念館を訪問。展示資料を見ながら、ルワンダ虐殺とはどんな事件で、なぜ起こってしまったのか、そこから私たちはなにを学ぶべきかということを解説しました。

【山本さんの感想(日記からの抜粋)】
今までの平和教育の中で一番衝撃を受けた。一番自分ごととして捉えられた。今まで難民支援をしたいと言ってきたが、表面上の知識だけで難民のことを分かった気になってはいけないと思った。

虐殺当事者とのお話会

グレースさんと

あまりにも悲惨でセンシティブであるがゆえに、なかなか聞くことのできないルワンダ虐殺についてのお話を、命からがら生き延びたルワンダ人女性・グレースさんに直接うかがいました。

この話を聞いた人たちは虐殺の悲惨さをまわりの人に伝えて、平和のアンバサダー(大使)になってほしい」という想いをもって、参加者にお話してくれるグレースさんには本当に感謝です。

【山本さんの感想(日記からの抜粋)】
何度も殺されかけて、壮絶な経験をして思い出したくないだろうに、話をしてくれて感謝しかない。フツ族の人を許した理由を尋ねた時に「許さなければ何ができる」と言っていたのが印象的だった。

青年海外協力隊との会食

青年海外協力隊になるという夢をもつ山本さん。実際にルワンダで活動する現役の隊員の方々にもお話をうかがいました。お越しいただいたのは、理科教育隊員の伊藤隼さんと、小学校教育の石井理沙子さん。それから、START参加者の山本さんと同世代で、国際協力機関のインターンシップでルワンダに来ている大学生の宮下孝一郎さんにも参加いただきました!

【山本さんの感想(日記からの抜粋)】
面接を適当に受けたと話されていた伊藤さんだが、アフリカを縦断していたり、北海道を一周しているなど、やっぱり普通の人ではないなと思った。アフリカを縦断しているからキガリでの生活に不便さを感じていなさそうだったし、日本での生活に比べて大変そうだがそれを少しも感じていなさそうだった。
石井さんはJICAの短期研修を経て協力隊になられていて、きちんとステップを踏まれているなと思った。「協力隊はゴールではない」「その職種の中でも何がしたいのか」という言葉が印象に残った。
宮下さんは協力隊の方々に積極的に質問したり、ルワンダのおすすめの場所を聞いていたり、マーケットにひとりで行ったり、すごく行動力のある人だと思った。私と1つしか年齢が変わらないのに、国際協力機関で、しかも海外でインターンをしていてすごいと思った。

4日目

キミロンコ市場

キガリ最大のマーケットで活気あふれる、キミロンコ市場へ。お土産を買ったり、アフリカ布でオーダーメイドのワンピースを仕立ててもらったりしました。

現地在者との交流会(大江里佳さん)

右から大江さん、大江さんの息子のアイマンくん、左が大江さんのパートナーのイブラヒムさん

元青年海外協力隊のルワンダ隊員であり、現在はルワンダ語のオンラインレッスンや通訳・翻訳の仕事、現地コンサルタントとして水衛生関連のプロジェクトに関わる大江里佳さんのお宅にお邪魔してお話をうかがいました。ルワンダ人男性と結婚し、1児の母でもある大江さんだからこそのお話をたくさん聞かせていただきました。

【山本さんの感想(日記からの抜粋)】
ルワンダ語を使いこなしていて格好良かった。私も協力隊になったら現地の言葉をあれぐらいマスターしたいと思った。住民と仲良くなるのは良いことばかりだと考えていたが、(上司と部下、同僚ではなく、友達のような関係になると)指示が通らなくなるなど困ることもあるということに気づいた。今まで私は協力隊として派遣されたら、住民と仲良くなり、ニーズを聞き出せばいいと思っていたが、それはあくまでも+αで、本来は自分が現地住民の状況を調査して、自分で課題を見つけなければいけないということが分かった。受け身でいてはいけないと思った。

大江さん宅では、おいしいルワンダご飯もいただきました!キャッサバの葉をすり潰してピーナッツソースやその他の野菜などであえたイソンベや、イフィリティ(フライドポテト)、トマトソースで煮込んだお肉、豆、お米など、すごく豪華なルワンダ料理に大満足でした。

おいしいルワンダご飯もいただきました!

5日目

農村ホームステイ

ホストファミリーと

タケダが協力隊時代に活動していた、東部県ルワマガナ郡ムシャセクターでホームステイ!キガリからは車で1時間程度と比較的近いですが、自然豊かでのどかな場所です。

あたたかいホストファミリーに歓迎されながら、農村部の生活を体験できました。また、タケダが当時活動していた場所を訪問したり、活動内容や生活の様子を紹介することで、協力隊について追体験していただきました。

ホストシスターのイノセントともすっかり仲良しに。

ホームステイを終えてキガリに戻ってスタディツアーSTARTは終了。あっという間の5泊6日を終えて、山本さんは無事に日本に帰国されました。

振り返りアンケート

①STARTに参加してよかったと思ったことはなんですか?

協力隊のことについて詳しく知れた
農村にホームステイできた
虐殺のことについて詳しく知ることができた
NPOで働いている人たちから話を聞けた

キガリで滞在した宿 INZOZI AFRICA HOUSE B&B(テラス)

②START参加の前後で、自分自身に変化はありましたか?

協力隊は現地住民からニーズを聞き出すだけではなく自分から課題を見つける必要があること、住民と仲良くなりすぎることも良くないことなど、協力隊に対する考え方が変わりました。また、意外と自分が多少の虫やぼっとんトイレに抵抗がないことに気づけました。来る前はアフリカに来るのが怖かったですがかなりハードルが下がりました。ルワンダの人たちは外国人の私にも優しくしてくれて、変なところに連れていかれるかもなどの怖さがだいぶ無くなりました。

③今後の人生に活かしたいと思ったことがあれば教えてください

協力隊の方から聞いたお話を、今後の協力隊の応募や活動に活かしていきたいです。また、虐殺について見たり感じたりしたことを他の人にもシェアしていきたいです。アフリカに来るハードルが下がったのでまたルワンダや他の国に行ってみたいです。

④特に印象に残った人の言葉や、生き方・働き方はなんですか?

大江さんの、出産の話で「ルワンダの人たちはこっちで産んでるからね」という言葉が印象に残りました。医療環境などは日本と比べて整っていませんが、確かにルワンダの人たちはこっちで生きているので、環境が多少日本より悪くても、私もルワンダ人も同じ人間なので私でもその環境で生きていけると思いました。その言葉で農村など、キガリより環境が整っていないところでも暮らしていけるのではないかと思えました。

「虫が出なくて安心した」という宿のお部屋

山本さんにとっては初めてのアフリカでしたが、実際に1週間現地で過ごしたことでこちらで生活する自信がわいたようです!彼女にとってはまさにこれが「START」。今回の経験を糧に、自分らしい人生を歩んでいってもらいたいと思います。まずは協力隊になるという夢を叶えるところからですが、山本さんならきっと大丈夫!応援しています!

山本さんが機内で撮った写真。まだ見ぬ世界へ!

次回のスタディツアーSTARTは、2023年2〜3月に実施予定。詳しくは「アフリカ・ルワンダスタディツアーSTART 開催日程」にて!

日程が合わなそう、個人で自由に行動したい、という方には、旅程をオーダーメイドする「ルワ旅コーデ」がおすすめ。

ルワンダであなたにお会いできる日を心待ちにしています!

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