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ルワンダのジェンダーギャップ指数の急降下:その背景とは?

アフリカのルワンダでスタディツアーや情報発信をしながら、国際協力機関でも働いています、タケダノリヒロ(@NoReHero)です。

ルワンダはこれまで世界経済フォーラムのジェンダーギャップ指数で高い評価を受けてきましたが、近年ではその順位が急激に下がっています。2022年には世界6位と高い位置にありましたが、2023年には12位、そして2024年には39位と、わずか2年で大きく順位を落としています。

かつては常にトップ10にランクインしていたルワンダが、なぜここまで急降下しているのでしょうか。その背景には「経済」と「政治」の分野における変化が大きく影響していました。

2022-2023:経済分野の変化と影響

ジェンダーギャップ指数は、経済、教育、健康、政治の4分野で評価されます。完全な男女平等が達成されていれば、スコアは1.000となります。

2022年から2023年にかけて6位ダウンした大きな要因は、経済分野の評価が下がったこと(スコア-0.048)です。

WEF GGGR 2022, 2023よりアフリカノオト作成

では経済のどこに問題があったのでしょうか。上記4分野もさらに細かい指標に分かれているので、経済分野の内訳を見てみましょう。

WEF GGGR 2023, 2024よりアフリカノオト作成

特に「労働力参加率」で大きく順位とスコアを落としています。ルワンダは2022年には労働力参加率で男女平等を達成し、世界1位にランクインしていました。しかし、2023年にはこのスコアが0.817に急落し、60位にまで順位を落としています。

この急落は、労働市場における男女の格差が再び広がったことを示しています。

2023-2024:政治分野の変化と影響

2023年から2024年にかけての27位ダウンは、政治分野での変化(スコア-0.119)が主な原因となっています。

WEF GGGR 2023, 2024よりアフリカノオト作成

政治分野の細かい指標を見てみると、具体的には「女性閣僚の割合」が大幅に減少した(スコア-0.48)ことがわかります。

WEF_GGGR_2023および2024よりアフリカノオト作成

実際の閣僚数を調べてみると、2023年には閣僚数21名中10名が女性で47.6%2024年には閣僚数30名中6名が女性で20%となっています(出典:IPU Women Political Leaders 2023, 2024)。

女性閣僚の数が減っているのはわかりますが、全体の閣僚数が9名も増えているのはなぜ……?

この母数の変化も女性閣僚の割合減少に影響を及ぼしていそうですね。念のため他国の閣僚数の変化も見てみましたが、増減があっても1〜2名程度。9名も増えているのは見たところルワンダくらいでした。

2023年から2024年にかけてルワンダで9つも省庁が増えたのか?と思いましたが、私が知る限り、調べた限りではそんな事実はなさそうでした。

じゃあなぜ全体の閣僚数が1年で9人も増えているのか。仮説として「副大臣(Minister of State)」が2024年から閣僚数に含まれるようになった可能性が考えられます。

財務・経済企画省の大臣と国務大臣 出典:Cabinet – Rwanda

ルワンダの閣僚が紹介されているページには、2024年9月13日現在30名が表示されており、そのうち21名が大臣で、9名が副大臣となっています。閣僚数の増加人数である9名とちょうど一致しますね。

この9人の副大臣が2024年から新たにカウントされることで、女性閣僚の割合が相対的に低下し、ジェンダーギャップ指数に影響を与えたのではないかと推測しています。

数字は数字

世界経済フォーラムのジェンダーギャップ指数において、ルワンダがランクダウンしてしまった要因を探ってみました。

2022-2023年においては、経済、特に労働力参加率がおもな原因となっており、2023−2024年においては、政治、特に女性閣僚の割合がおもな原因となっていました。

しかしこれはあくまで数字でしかありません。2022年にはルワンダの労働力参加率が”完全な”男女平等を達成してスコア1.000だったのに、2023年には0.817となっています。ただ現地に住んでいてもそこまで女性の労働環境が劇的に悪くなったようには感じませんし、そもそも2022年が満点だったことに関しても疑わしいと言わざるを得ません。

また2023−2024年でおもな原因となった女性閣僚の割合も、数字なんてすぐに変わってしまいます。ルワンダでは閣僚を含む政府高官の異動情報は、首相官邸のX(旧ツイッター)アカウントで発表されるのですが、現地で「イエローペーパー」と呼ばれているこの情報、毎週のように見ている気がします。

それくらいルワンダの政府高官の人事異動は激しいのです。なのである時点で女性が多かったとしても、それで安心はできないのです。

数字で現状を把握することはもちろん大事ですが、表面的な情報だけにこだわらず、中身もしっかりと精査していきたいものですね。

なぜジェンダーギャップ指数でルワンダがランクダウンしてしまったのかの理由は知ることができましたが、本当に労働力参加率や閣僚数においてジェンダーギャップが広まっているのかは、やはりネットで調べるだけではわかりません。引き続き現地の知人・友人に聞き込みしていきたいと思います。

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