ルワンダ、スマホ所有率は二割。席巻する中国スマホ
アフリカノオト代表の竹田憲弘です。著書『アフリカに7年住んで学んだ50のこと: ルワンダの光と影』より、ルワンダのスマホ事情について解説した節を抜粋してお届けします。
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ルワンダの街を歩いていると、「TECNO」「Itel」「Infinix」と書かれた看板をよく目にします。これらはスマホのブランドなのですが、いずれも「トランシオン(伝音科技)」というおなじ中国のメーカーのものなのです。同社は日本ではほとんど知られていませんが、二〇一七年にアフリカ最大の携帯電話メーカーとなっており、二〇一八年には世界でも四位になっています(二〇一九年四月一五日、ロイター)。
実際に私のまわりのルワンダ人でもTECNOのスマホを持っている人が多いです。また、首都キガリには「キガリ·シティ·タワー」という、日本で言うと東京タワーのような象徴的なビルがあるのですが、そのてっぺんにも「Infinix」の広告ロゴがつけられており、これらのブランドの影響力を実感できます。
ここまで中国がスマホ販売に力を入れているのは、ルワンダではまだまだ普及率が低く、開拓の余地があるからでしょう。地元メディア『The New Times』の二〇二三年一月の記事によると、スマホ普及率は20%。しかし携帯電話の契約率は82.9%。スマホではないフィーチャーフォンまで含めれば、ほとんどの人がケータイをもっているという状況です。
ルワンダのスマホの話題で欠かせないのは「マラフォン(Mara Phone)」の存在。二〇一九年にキガリの経済特区に工場が設立され、「アフリカ初の国産スマホ」として華々しくデビューしました。「ルワンダ国内でスマホがつくれるなんて!」と驚いたことを覚えています。「これは買わねば!」とショップまで足を運んだのですが、実機を手にとって見ると背面にライオンのマークが入っていること以外はいたってふつうのスマホだったため、急に熱が冷めて結局買うことはありませんでした。
当初は安いモデルで13万ルワンダ·フラン(約1.6万円)、高いモデルは18.9万フラン(約2.4万円)だったので、現地の人にとっては高いなと思っていましたが、現在では4.5万フラン(約6千円)からとだいぶ手に入りやすくなってきました(AllAfrica, 二〇二二年七月一五日)。
ルワンダ政府は特に農村部で、「コネクト·ルワンダ(Connect Rwanda)」というキャンペーンによって数万台のスマホ(おそらくマラフォン)を配り、スマホの普及促進、国のデジタル格差の解消にも努めています。
「はじめに」で紹介したとおり、『第五回人口·住宅統計調査 ルワンダ 二〇二二年』によると、インターネットを使える家庭は22.8%。端末の普及と同様にインターネットの普及も課題となっています。しかしある程度お金に余裕があれば、ときどき通信が途切れたりはするものの、大きな問題もなくネットを使うことは可能です。たとえば、我が家で使っているCanalBox社のWi-Fiは、一ヶ月使い放題(速度は最大50Mbps程度)で25000RWF(約2500円)。外出時に使う、MTNのSIMカードを利用したインターネットバンドルは一日50MBで100RWF(約10円)から、一ヶ月2GBで2000RWF(約200円), 7GBで5000RWF(約500円), 30GBで10000RWF(約1000円)といったパッケージが用意されています(二〇二三年四月現在)。
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