ルワンダがアフリカの中でも注目される理由とは?
あなたがここにたどり着いたということは、「ルワンダ」という国について少なからず興味をお持ちだからだと思います。ルワンダについて、どんなイメージをお持ちですか?虐殺の起こった国、テクノロジーが発達している国、コーヒーが有名な国ーー。ルワンダにはこのようにたくさんの特色があるのです。この記事では、それらの特徴を地理、歴史、経済、社会の観点からざっくりとお伝えします。
ルワンダについて知る前に、まずはこの国が属する「アフリカ」という地域について見てみましょう。
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Contents
「アフリカ」という国はない
アジアやヨーロッパにある国のことはタイやフランスなどそれぞれの国名で呼ぶのに、アフリカのことは「アフリカ」とひとくくりに表現しがちですよね。それだけ日本人にとっては地理的にも精神的にも遠い地域なのでしょう。でも、「アフリカ」という国がないことはご存知のように、一カ国ずつが違った顔をもっているのです。
まず、アフリカについてよく語られるのが「サブサハラ・アフリカ」という地域(下図の緑色の地域)。
サハラ砂漠より南にある地域のことですね。地理的にも文化的にもヨーロッパに近く、比較的発展している北アフリカはここに含まれていません(スーダンは北アフリカ地域ですが、サブサハラ・アフリカに含まれます)。
サブサハラでは、話者数が多い言語はなく、小規模な言語が多数分布しています。多くの国では全土で通用する単一の民族言語が存在せず、旧宗主国の言語が共通語として使われています。しかしルワンダでは、ルワンダ語という共通で単一の言語があることが特徴のひとつとなっています。
アフリカの別の区分では、東西南北と中部の5エリアに分けることもできます。
・北部(青)
・西部(緑)
・中部(ピンク)
・東部(オレンジ)
・南部(赤)
ルワンダが属しているのはオレンジ色の部分、東部アフリカですね(「東アフリカ」とも呼びます。でも「南アフリカ」って国があるから南部アフリカは「南部アフリカ」って呼ばなきゃややこしいですね)。
アフリカは近年「最後のフロンティア」とも呼ばれ経済成長を遂げてきていますが、そのなかでも豊かな国はどこか、ご存知ですか?
2018年のGDPランキングでは、1位ナイジェリア、2位南アフリカ、3位エジプトという順位になっています。ナイジェリアはアフリカ最大の人口2億人を誇り、世界でも7番目。南アフリカは、有望な新興国を表すBRICsの”s”として2011年4月に認められました(それまではBrazil, Russia, India, Chinaの4カ国で、複数形をあらわす”s”でした)。ルワンダは54カ国中34位。真ん中より少し下に位置しています。
【地理】不利な環境にある小国ルワンダ
GDP上位10カ国(左図ピンク色部分)を見てみると、そのほとんどが海に面している国だということがわかります。
一方ルワンダ(左図青色部分)はまわりを他国に囲まれた内陸国です。沿岸部にあれば海の向こうにある他国との貿易もスムーズにできますが、内陸国は陸路で余計な輸送費がかかり輸出入の障壁となるのです。
ルワンダの国土は四国の約1.5倍。その中央にある首都キガリから各国境までは、車で4時間もあれば行けてしまうほど小さな国です。まわりはウガンダ(北)、タンザニア(東)、ブルンジ(南)、コンゴ民主共和国(西)に囲まれています。
【歴史】100万人が亡くなったルワンダ虐殺
ルワンダでもっとも知られた出来事と言えば、1994年に起きたルワンダ虐殺(ジェノサイド)です。ツチ族とフツ族の民族対立に端を発し、100日間で約100万人が亡くなったと言われています。これによって国は壊滅的なダメージを受けましたが、現在では「アフリカの奇跡」と言われるほどの復興、経済発展を遂げています。
その立役者となったのが、RPF(Rwandan Patriotic Front, ルワンダ愛国戦線)を率いて争いを収めた現大統領のポール・カガメ氏。独裁的と言われるほどのリーダーシップのもと、20年以上にわたって世界最速水準の高度経済成長(GDP年平均成長率約7%)を維持してきました。
いまでは虐殺という悲惨なできごとがあったことが嘘のように、平和な国になったルワンダ。世界経済フォーラムの実施した安全度ランキングではアフリカで1位(世界でも9位)となっています。
とは言え虐殺からはまだ26年。多くの国民が当事者であり、生存者であるため、その記憶を抱えたまま生きています。
ルワンダ虐殺の様子は、映画『ルワンダの涙』や『ホテル・ルワンダ』にも描かれていて、歴史理解の一助になるはずです。人間の残酷さに胸が苦しくなる作品ですが、ぜひご覧ください。
【経済】ITの力で知識基盤型経済へ
ルワンダのおもな輸出品はコーヒーと紅茶です。資源に関しては「3T」と呼ばれる鉱物(タンタル、錫、タングステン)が取れるものの、経済全体の5%程度に過ぎません。これらは土地に依存することになるので、内陸国で資源にも恵まれないルワンダには不向き。そこでルワンダはサービス業を中心とした「知識基盤型経済」への移行を目指しています。
現在最大の収入源となっているのが観光です。国際会議を誘致したり、世界的にも希少なマウンテンゴリラのトレッキングツアーで富裕層の観光客を招いたりして外貨を獲得しています。
ほかに注力しているのがIT分野です。「IT立国」を目指して、学校でひとりの子どもに1台のラップトップ(通称「100ドルPC」)を与える「One Laptop Per Child(OLPC)」などIT教育も推進されています。
ビジネスにおいてはドローンで輸血用の血液を運ぶZipline社を始め、ITの力で社会課題を解決するような取組が進められています。
【社会】女性議員の割合世界一!言語、宗教、食事
ルワンダの特筆すべき点としては、国会議員に占める女性の割合が世界一(2018年は61.3%)であることが挙げられます。議員だけでなく会社や団体のリーダーとしても多くの女性が活躍しているのです。こういった状況が評価され、世界経済フォーラム(WEF)の発表している「男女格差(ジェンダーギャップ)指数ランキング」では常に世界トップクラス(2018年は6位)。これらの背景にもやはり虐殺の影響があり、男性が多く亡くなったことにより、女性の社会進出を促進する機運が高まったと言われています。
公用語はなんと4つもあり、ルワンダ語、フランス語、英語、スワヒリ語が登録されています。ルワンダ語は母国語として日常的に使われており、フランス語はベルギーの植民地であった名残です。しかし2009年から英語が公用語に追加され、政府や教育機関でもおもに英語が使用されるようになりました。スワヒリ語は東アフリカ共同体の共通言語として2017年に追加されたもので、日常的にはそれほど使われてはいません。
宗教はキリスト教が9割以上(カトリック43.7%, プロテスタント37.7%, セブンスデー・アドベンチスト教会11.8%)で、無宗教2.5%、イスラム教2%, エホバの証人0.7%となっています(2012年)。
ルワンダの主食としては食用バナナ(プランテーン)、米、いも、豆、ウガリなどがよく食べられます。ウガリとはトウモロコシかキャッサバの粉をお湯で練ってお餅のようにしたものです。手でこねて弾力を出して食べるのが一般的です。
肉はヤギ肉や牛肉が比較的安く手に入り、豚肉、鶏肉が高価なのも日本と異なるところですね。
以上のように、地理、歴史、経済、社会とどの分野においても特徴があるルワンダ。
絶望的な虐殺というできごとを乗り越えて、経済発展を続ける姿に注目が集まっています。
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