ルワンダにおけるエムポックスの状況、現地在住者の視点、渡航の注意点
ルワンダへの渡航を考えている方に向けて、エムポックス(旧称:サル痘)の現状と、注意すべき点についてまとめました。
Contents
ルワンダにおけるエムポックスの状況
2024年現在、ルワンダを含む中央アフリカの複数国でエムポックスの感染が拡大しています。特に、コンゴ民主共和国で流行している「クレード1」というウイルス株が重症化しやすく、隣国であるルワンダでも感染例が報告されています。症例数は比較的少ないものの、ルワンダ政府および国際機関は感染拡大のリスクを警戒しています。
出典:エムポックスに関する感染症危険情報(レベル1)の発出|外務省海外安全ホームページ
ルワンダにおけるエムポックス関連ニュース
▼ルワンダ エムポックス: 恐れてほしくないが知識を持って(2024年9月7日、BBC)
・ルワンダの保健当局は、これまでに4人の患者を発見し、全員が治療を受け回復したと発表している
・ギセニ*総合病院の院長「政府が外出禁止などの対策を講じた新型コロナと同レベルには達しないだろう」
*コンゴ民との国境沿いで国内でもっとも高リスクと考えられる地域
▼WHO、コンゴ民でのエムポックス検査が限られていると警告(2024年9月14日、VOA)
・2024年の同国における致死率は、確定症例では0.5%(5,160件中25人死亡)、疑い症例(検査済み、未検査)では3.3%(21,835件中717人死亡)
・遠隔地では検査施設へのアクセスが限定的。2024年には疑いのある症例全体の約40%しか検査されておらず(2023年の9%から増加)、うち約55%が陽性反応
・9月8日までの1年間で最多の疑い例が報告された3カ国はコンゴ民、ブルンジ(疑い例1,489件、死亡なし)、ナイジェリア(疑い例935件、死亡なし)
・エムポックスには2つの系統があり、各々にaサブ系統とbサブ系統がある
・WHOはコンゴ民で新たな系統1b株の感染例が急増し近隣諸国に広がったことを懸念、8月14日に国際緊急事態を宣言
・系統1bはブルンジ、ルワンダ、ウガンダ、ケニアでも検出。スウェーデン、タイで1件検出
現地在住者の視点
ルワンダが外務省の危険レベル1に指定されてから1ヶ月ほど経ちました。その直後には大きめのショッピングモールの入口で手洗い器を設置するところも見られましたが、現地でエムポックスの脅威を実感する機会はまったくと言っていいほどありません。関連ニュースを検索してもそれほど多くの記事は出ていません。
新型コロナウイルスが発生した当初はすべての施設に手洗い器や手洗い場の設置が求められ、ロックダウン(外出禁止)までおこなわれたため、その時と比較すると切迫度は雲泥の差です。
ただし隣国コンゴ民主共和国では確定症例だけでも5000件以上出ており、遠隔地では検査不足も指摘されています。コンゴ民東部とルワンダ西部は地続きになっているため、コンゴ民から感染者が入ってきてしまう可能性は十分にあるでしょう。
エムポックスの症状
潜伏期間は5~21日(通常は6~13日)、致死率は数%~10%と報告されています。症状は、発疹、発熱、筋肉痛、頭痛、咽頭痛、リンパ節の腫れ、肛門直腸痛、その他皮膚粘膜病変であり、発熱後1~3日で特徴的な発疹が顔や四肢に現れ、口の中や性器、目にも発疹が現れることがあります。臨床的には天然痘との鑑別が重要です。
出典:エムポックスに関する注意喚起|外務省海外安全ホームページ
エムポックスの感染対策
以下のような感染予防対策を心がけ、感染が疑われる場合には、直ちに医師の診察を受けてください。
●症状のある人の飛沫・体液等との接触を避ける。
●エムポックスウイルスを保有する可能性のあるげっ歯類等のほ乳類(死体を含む。)との接触を避け、野生の狩猟肉(ブッシュミート)を食べたり扱ったりすることを控える。
●石けんと水、またはアルコールベースの消毒剤を使用した手指衛生を行う。
出典:エムポックスに関する注意喚起|外務省海外安全ホームページ
渡航前の準備
日本の外務省は、ルワンダを含む周辺国への渡航に際し「レベル1(十分注意してください)」という感染症危険情報を発出しています。渡航の際は「たびレジ」や在留届に登録し、緊急時に備えてください。また、現地での最新情報を入手できるよう、外務省やWHOの情報に随時アクセスすることが大切です。
エムポックスに関する感染症危険情報(レベル1)の発出|外務省海外安全ホームページ
エムポックスの感染拡大状況は刻々と変化していますので、最新の情報に基づいて渡航の判断を行うことをお勧めします。
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