ダルビッシュ選手から寄付!ルワンダの子どもたちに2500本のボールペンを届けました
アフリカノオト(Africa Note Ltd.)代表のタケダノリヒロ(@NoReHero)です。
このたび、メジャーリーガーのダルビッシュ有選手から寄付していただいた2500本のボールペンを、ルワンダの小学校に届けてまいりました。
子どもたちの様子はどうだったのか、どのような経緯でこうなったのかをお伝えします。
贈呈式の様子
寄付にあたり、小学校で贈呈式をおこないました。
生徒たちは想像以上に大喜び!
ルワンダでは「野球」というスポーツの存在自体が知られていません。なので子どもたちには、野球は日本でとても人気のスポーツで、ダルビッシュ選手はサッカーのメッシやネイマールと同じくらい有名な選手なんだよと伝えたところ、「すごい!」と分かってもらえたようです(たぶん)。
「自分を信じ、夢を大きく持って、日々の努力に励んでください」というダルビッシュ選手からのメッセージを、子どもたちは目を輝かせて受け止めてくれました。
さらに在ルワンダ日本大使館から佐川次席をお招きして、両国の友好関係についてお話をいただきました。
これで、日本の人たちはこれだけルワンダのことを想っているんだよ、ということが子どもたちにも伝わるといいなと思っています。
応援してくれてる人たちが遠く離れた国にもいるんだ、という気づきが、彼らのこれからをきっと支えてくれるはずです。
ほそぼそと続けてきた情報発信
では、どんな経緯でダルビッシュ選手から寄付をいただくことになったのかをご説明します。
わたしは現在ルワンダで旅行業を営んでいますが、青年海外協力隊としてボランティアをしていた2016年から、サイトやSNSでルワンダ情報を発信し続けてきました。
ルワンダのことなんて書いても、読んでくれる人はごくわずか。話題になることも少ないし、検索される機会もかなりまれです。
なので「こんな記事書いても意味ないんじゃないか」と思うことも、たびたびありました。
それでもルワンダを訪れた方々に「おかげで助かりました!」「いつも参考にしてます」と言っていただけることがうれしくて、ほそぼそと続けてきた情報発信。
そんな行為にも大きな可能性があるんだと思えたのが、今回のできごとでした。
Twitterで、突然「野球をやっているダルビッシュ有と申します」というダイレクトメッセージが来たのです。
メジャーリーガーからのメッセージ
メジャーリーガーからの自己紹介に「いや、知ってる知ってる!」と思いながら、アカウント名の横のオフィシャルマークで本人であることを確認。
ドキドキしながら読み進めると、ダルビッシュ選手は
・わたしのルワンダ関連のYouTubeを観た
・もともとルワンダの歴史に関心があった
・ルワンダの人たち、特に子どもたちのために何かできることがないか教えてほしい
ということでした。
そしていくつかの方法を提案したうえで、学校にボールペンを寄付することを、ダルビッシュ選手に決めていただきました。
寄付の意義
ダルビッシュ選手にご提案するうえで、特に考えたことがあります。
それが途上国支援につきものの、「モノやお金をあげることは善(現地の人たちのためになる)か?」という命題。
その理由は3つあって、1つ目はむやみにモノやお金をあげることは自立を阻害することになりかねないから。
「人からもらえるんだから、がんばらなくてもいいや」と思われてしまったら、永遠に「支援する側」と「される側」の構図は変わりません。
2つ目は、モノやお金がムダになりかねないから。たとえ寄付したとしても、それを有効に使える体制がととのっていなければ、いらないモノを買ってしまう可能性があります。
現地のニーズに合っていなければ、使われないまま放置されたり捨てられたりしてしまうかもしれません。
3つ目は、現地のコミュニティに不和を起こしかねないから。
モノをあげるにもお金をあげるにも限度があります。Aさんに協力したけどBさんやCさんにはなにもできなかった、という場合には、「なんでAだけ良い思いをしてるんだ」とまわりにねたみの感情を抱かせてしまうかもしれません。
今回の寄付はこれらの条件を満たし得ると考えました。
小学校はわたしがボランティア時代から活動していた場所で、いまでも自社のツアーで見学させてもらったりと交流があります。そのため寄付したものをきちんと使ってくれるだろうという信頼があり、わたしも継続的にサポートできるのです。
また、ひとつの学校の全生徒に平等にモノを配れるのであれば、コミュニティ内での不和が起きる可能性が低いと考えました。
なぜボールペンなのか
では、なぜボールペンが役立つのか。
この村に住んでいたとき、すれ違いざまに「お金ちょうだい」「お菓子ちょうだい」と、大人子ども問わず声をかけられることがよくありました。
そんな中、「ペンちょうだい」と言われることもあったのです。正直ペン自体はそんなに高いものではありません。日本円にして数十円で1本買うことができます。
それでも、それすら買うことが難しい家庭があるのです。実際に授業の様子を見ていると、生徒同士でペンを共有している姿も見受けられました。
ペンはお金や食べ物と同様に、使えばなくなってしまうため一時的な支援にすぎないかもしれません。
ただ、たとえインクが切れてしまっても、そのペンを通じて学んだ知識や身につけた知的探究心は一生モノです。
だから、ペンならば確実に現地の子どもたちに役立ててもらえると考えたのです。
これからについて
実際に寄付してみると、想像以上によろこんでもらえました。
校長先生は「学用品がなくてドロップアウト(中退)してしまう子どもたちもいる」とおっしゃっていたので、ペンを寄付したことで学業をあきらめてしまう生徒が減るかもしれません。
今回ダルビッシュ選手が選んでくださったのは黒・赤・青の3色ボールペン。ルワンダでは青いインクのペンが主流で、それ以外の色はほぼ見かけません。あっても高いものばかり。
そのため、3色使い分けることのできるこのペンで、子どもたちの想像性や学習効率を高めることもできるはず。
わたしの主催するスタディツアーでは、日本からの参加者に学校で授業をしてもらうこともあるので、このペンを活用できる授業内容を考えていければと思っています。
発信し続けよう
この3年間、複雑で根深い貧困問題を目の当たりにしてたびたび感じていた「無力感」。
それでもルワンダについて発信を続けたことで、ダルビッシュ選手からご連絡をいただき、現地の子どもたちのためにペンを贈ることができました。
自分自身に大きな力がなくてもいい。手足を動かして、声を上げ続けていれば、協力してくれる人があらわれて、大きな成果につながり得る。
そんなことを実感できました。
この記事ではわたしの立場から思うことを書きましたが、「ルワンダのために何かしたい」と動き始めたのも、ペンを寄付すると決めたのもダルビッシュ選手です。
彼の想いと行動がなければ、今回の取組は実現しませんでした。
ダルビッシュ選手、本当にありがとうございます。
これからも現地で子どもたちの成長を見守っていきます。また報告させてもらいますね。
アフリカノオト代表/ タケダノリヒロ(@NoReHero)