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「世界という書物」に学べ——ルワンダ在住10年がデカルトを読んで考えたこと

「自分探しの旅って、意味あるの?」

「青くさい」「時間の無駄」「現実逃避でしょ」——そういう声もよく聞きます。

でも今日は、その「自分探しの旅」を本気で肯定した哲学者を紹介したいと思います。

しかも17世紀の人。500年前の人。「我思う、ゆえに我あり」で有名なデカルト。そして『エセー』のモンテーニュ。2人とも「旅に出て、世界に揉まれることが、最も重要な学びだ」と言い残しています。

YouTube版はこちら↓

https://youtu.be/XrD0jryMQuU

デカルトが旅に出た理由

デカルトといえば「我思う、ゆえに我あり」で有名な哲学者です。論理と理性の人、というイメージがある。

でも彼の代表作『方法序説』の冒頭に、こんなことが書いてあります。

そしてこれからは、わたし自身のうちに、あるいは世界という大きな書物のうちに見つかるかもしれない学問だけを探求しようと決心し、青春の残りをつかって次のことをした。旅をし、あちこちの宮廷や軍隊を見、気質や身分の異なるさまざまな人たちと交わり、さまざまの経験を積み、運命の巡り合わせる機会をとらえて自分に試煉を課し、いたるところで目の前に現れる事柄について反省を加え、そこから何らかの利点をひきだすことだ。 (デカルト『方法序説』岩波文庫 p.17、谷川多佳子訳)

学校の外、書物の外に出ることを、デカルトは「世界という大きな書物を読む」と表現しました。しかも「試煉を課し」「利点を引き出す」——これは観光ではない。自分を鍛え、何かを得るための旅です。

では旅をして、何が得られたのか。続きを読むと、デカルトはこう書いています。

そこからわたしが引き出した最大の利点は次のことだった。つまり、われわれにはきわめて突飛でこっけいに見えても、それでもほかの国々のおおぜいの人に共通に受け入れられ是認されている多くのことがあるのを見て、ただ前例と習慣だけで納得してきたことを、あまり堅く信じてはいけないと学んだことだ。 (デカルト『方法序説』岩波文庫 p.18、谷川多佳子訳)

「旅から得た最大の利点」として、デカルトが挙げたのはこれでした。

自分にとって「おかしい」「あり得ない」と思えることでも、別の国では普通に受け入れられている。それを目の当たりにしたとき、「自分が当たり前だと思っていたことは、実は前例と習慣がそう思わせているだけだったんだ」とわかる。

そして数年の旅を経て、デカルトはこう語ります。

このように数年を費やして、世界という書物のなかで研究し、いくらかを得ようと努めた後、ある日、わたし自身のうちでも研究し、とるべき道を選ぶために自分の精神の全力を傾けようと決心した。このことは、自分の国、自分の書物から一度も離れなかった場合にくらべて、はるかにうまく果たせたと思われる。 (デカルト『方法序説』岩波文庫 p.18、谷川多佳子訳)

外の世界を旅することで、はじめて自分の内側を深く見つめることができるようになった。旅が先にあって、自分への問いが後からくる。この順番が大事だとデカルトは言っています。

「自分の国、自分の書物から一度も離れなかった場合にくらべて、はるかにうまく果たせた」——この言葉は重い。


モンテーニュの「世界は鏡だ」

デカルトより少し前の時代、16世紀のフランスに、モンテーニュという哲学者がいました。『エセー』という本で有名です。彼もまったく同じことを言っています。

この世界こそは、われわれが自分を正しく知るために自分を写して見なければならぬ鏡であります。要するに私は、これが生徒であるお子様の教科書であるようにと望むのです。 (モンテーニュ『エセー』、津崎良典訳)

世界そのものが、最良の教科書だということです。学校の教科書ではなく、実際の世界に出ることで、自分のことが初めてわかるようになる。世界は「鏡」だとモンテーニュは言います。

では、どうやってその教科書を読むのか。

人々との交際はその目的に非常に適しております。また、外国を訪れることも同様です。[……]主としてその国々の国民性とか風習とかを調べ、そうして我々の脳みそを他人のそれにこすり合わせ磨くことを目的とするものでなければなりません。 (モンテーニュ『エセー』、津崎良典訳)

「脳みそを他人のそれにこすり合わせ磨く」——

ただ見て回る観光ではなく、自分と違う価値観・文化・習慣を持つ人たちと直接ぶつかることで、自分の思考が磨かれていく。摩擦があるから磨かれる。快適なところにいるだけでは、脳は磨かれません。

そしてモンテーニュはこう続けます。

人間の判断力は、世間と交わることから驚くべき明察を得ることができます。我々は皆、自分の殻に閉じこもり、こり固まって、自分の鼻先ぐらいの短い視野しかもっておりません。 (モンテーニュ『エセー』、津崎良典訳)

「自分の鼻先ぐらいの短い視野」——耳が痛い言葉です。

私たちは自分の経験と環境の中に閉じこもっていて、それが「当たり前」「普通」だと思い込んでいる。でも、世間と交わることで、その思い込みが崩れ、「驚くべき明察」——圧倒的な明晰さが得られる。

これは16世紀の話ですが、今の時代にそのまま当てはまると思います。SNSは似た意見が集まってくる。職場も学校も、似たような環境の人が集まる。モンテーニュが言う「自分の殻」は、今の時代のほうがむしろ分厚いかもしれない。


実際に旅に出た人たちの話

ここで、実際にルワンダのスタディツアーに参加した方たちの声を紹介します。

最初の1日で、「アフリカ」というフィルターが崩れた

2023年2月、初めてルワンダを訪れた大橋天一さんが、到着初日の日記に書いてくれた言葉です。

「今日はルワンダの市街地を歩いた。想像していたアフリカとは全く違う。道路にゴミは全然落ちてない。田んぼが綺麗。キャッシュレスもかなり進んでいる。人は控えめな人が多い印象を受けた。」 ——大橋天一さん(ツアー中の日記より)

「想像していたアフリカとは全く違う」——これがまさに、デカルトの言う「ただ前例と習慣だけで納得してきたことを、あまり堅く信じてはいけない」という瞬間です。

「アフリカは貧しい」「整備されていない」——そのフィルターが、現実に触れた瞬間に崩れた。観光じゃなく、「じゃあ実際のルワンダってどんな場所なんだ」という問いに向かう。これが変容の出発点です。

外で揺れると、内を問い直し始める

2024年10月参加の大窪里桜さんが、虐殺当事者とのお話会の後、日記に書いてくれた言葉です。

「平和とは何か?という質問に対して、未来について考えられる状態が平和だと思うという答えに共感しました。当時は過去(自分がされて辛かったことや悲しかった出来事など)を考えていた、将来のビジョンやプランに思考がいくようになってからは平和だと感じる、という答えがとても印象に残りました。ルワンダに来て、自分のビジョンやプランを考えていけるキャリアについて深く考えるきっかけになりました。」 ——大窪里桜さん(ツアー中の日記より)

「ルワンダで受けた問い」が「自分のキャリアへの問い」に変わっていく。

これがまさに、デカルトの言った「世界という書物のなかで研究した後、わたし自身のうちでも研究しようと決心した」という流れそのものです。外が先で、内が後——この順番が大事なんです。

キャリアの選択肢が、旅の後に広がった

2025年2月参加の大森貴之さんは、すでに起業家として活動していた社会人です。帰国後アンケートにこう書いてくれました。

「自分は現在起業家としてビジネスをしていますが、国際協力の様に誰かの人生を大きく変えるかもしれない活動は次のキャリアの選択肢として非常に魅力的に映りました。」 ——大森貴之さん(帰国後アンケートより)

キャリアを持つ社会人が、ルワンダに来て「次の選択肢」を見つけた。

これがモンテーニュの言う「驚くべき明察」です。教室で考えていても出てこなかった「次の自分」が、世界という教科書を読むことで見えてきた。


なぜルワンダなのか

日本での「普通」が、ことごとく通じない場所です。言語、宗教観、歴史、経済の仕組み——全部違う。だから「自分の鼻先の視野」が一気に砕け散る。

しかもルワンダには、砕け散った先に見えるものがある。1994年のジェノサイドで100日間に約80万人が命を失った国が、今「アフリカのシンガポール」と呼ばれるほどの経済成長を遂げている。どん底から立ち直った人たちが今を生きている——その現実を、街全体から感じることができる場所です。

これは教室では体感できない。


旅が終わった後に起きること

デカルトはこう言っていました。「世界という書物のなかで研究した後、ある日、わたし自身のうちでも研究しようと決心した」と。

外の世界を見ることは、自分の内側を見るための準備だった——ということです。

スタディツアーで起きることも、まさにこの順番です。ルワンダで外の世界に触れて「揺れる」。帰国してから「自分はどうしたいのか、どう生きるのか」を問い直す。この2段階があって初めて、本当の学びになる。

2人の哲学者が500年前に言っていたことを、今の言葉に直すとこうなります。

「旅は、自分の鼻先の視野を砕き、世界を正確に見る判断力を育てる、最も実践的な教育だ」

グローバル人材を育てたい、多様性への理解を深めたい、視野を広げたい——企業も大学も学校もそう言います。でも、それは教室の授業だけでは育たない。

モンテーニュが言った通り、「脳みそを他人のそれにこすり合わせ磨く」場所に、実際に身を置くしかないのです。

人間の判断力は、世間と交わることから驚くべき明察を得ることができます。 (モンテーニュ『エセー』、津崎良典訳)

「驚くべき明察」——教室で100時間勉強しても手に入らない何かが、現場で3日過ごすだけで手に入ることがある。それが旅の力です。

「視野を広げたい」「固まった常識を壊したい」「世界の本物を自分の目で見たい」と思っているなら——ルワンダで一緒に、その「驚くべき明察」を体験しましょう。

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