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立教大学異文化コミュニケーション学部様向けオンラインフィールドスタディを実施しました

2020年9月、立教大学異文化コミュニケーション学部向けに、4日間のオンラインフィールドスタディを実施致しました。

同学部の小峯茂嗣助教の「ルワンダ内戦とジェノサイド後の平和構築について学ぶ」プログラムの一環として、オンライン実習を実施。新型コロナウイルスの影響でルワンダ訪問が叶わなくなってしまった大学生の皆様に、ご自身の目で現地の様子を確かめ、現地の人々と交流していただくことができました。

行程と内容

通信ツールにはZOOMを使用。現地で弊社代表タケダ(@NoReHero)がスマートフォンから生中継し、適宜口頭で質疑応答を行いました。

キガリ市内状況(9月2日)

1日目はルワンダの首都キガリの中心街から中継。

丘の上にある首都キガリの中心街へ

スタート地点は、映画『ホテル・ルワンダ』の舞台となったホテル・ミルコリンズ(Hotel des Mille Collines)。いまでも老舗ホテルとして営業は続いており、その屋内や駐車場にある虐殺モニュメントなどをご紹介しました。

そこから歩いて5分ほどのショッピングモール、ユニオントレードセンター(Union Trade Centre)へ。通常時でもあまり客入りの多くないモールですが、コロナ禍ということもあって更にひっそりとしている様子や、お土産屋さん、スーパーマーケットで売られている品々を見ていただきました。

首都キガリ中心街

その他街中を歩きながらご案内しましたが、至るところに手洗い用バケツや水道が設置されていたり、お店の地面にはソーシャルディスタンスを保つためのマークが描いてあったりといったコロナ対策に、参加者の皆様は興味をそそられたようでした。

また、中心街からタケダ自宅付近まで10分ほどモト(バイクタクシー)に乗りながらその様子を配信したのですが、「本当にバイクに乗りながらルワンダの景色を見ているようだった」という感想もいただきました。遠く離れた日本からでも現地の空気感を感じていただけたようです。

ニャマタ虐殺祈念館(9月4日)

2日目はルワンダ国内でも主要なメモリアルのひとつである、ニャマタ虐殺祈念館(Nyamata Genocide Memorial)を訪問。通常メモリアル内での撮影・配信は禁止されているのですが、関連組織に申請して許可を取得したうえで生中継をおこないました。

Nyamata genocide memorial

説明は施設常駐のルワンダ人英語ガイドさんから。建物内には1994年のツチ族に対する虐殺で犠牲になった方々の衣服や遺骨が生々しく残されており、その情景も画面を通して伝えることができました。

Nyamata genocide memorial

施設内を見学した後には、ガイドさん自身への質疑応答も実施。しかし、残念ながらガイドさんは虐殺に関して個人的な体験や意見を語ることを禁止されており、詳細な情報までは得ることができませんでした。それでもその様子を目の当たりにできたことで、いかにルワンダ政府が虐殺に関する情報管理を徹底しておこなっているのか、という現在の状況を肌で感じることができ貴重な経験になったのではないでしょうか。

農村生活、小学校視察(9月8日)

3日目はタケダが青年海外協力隊時代に活動していた東部県ルワマガナ郡(Rwamagana district)ムシャセクター(Musha sector)へ。首都キガリから車で1時間程度のところにある農村部です。

ここでは、弊社ホームステイプログラムでホストファミリーを務めてくれているフェーザさん一家に協力していただきました。まずは道端にある公共水栓から、ホストブラザーのエリックとともに生中継。

公共水栓の様子を興味深く視聴する参加者たち。右上が小峯助教

ルワンダ語と英語を操るエリックに通訳してもらいながら、水汲みに来ている子どもたちにインタビュー。参加者から「水汲みは楽しいですか?」と質問があり、「楽しいです。それに家族の一員としての責任があるから」と答えてくれた10歳の男の子も。一同からは驚きの声があがりました。「この年齢でこんなに成熟しているんだね」とエリックに声をかけると「ルワンダの子どもたちにとって、小さなときから家族の手伝いをするのは当たり前だからね。考え方も大人びてくるんだ」と答えていました。途上国における子どもたちの家事や労働にはネガティブな側面も多いですが、このような考えをもつ子どもの存在を身近に感じられたことは日本の大学生にとってかけがえのない体験になったのではないでしょうか。

その後、ルシシロ小学校(Rusisiro primary school)を訪問。3月のコロナ発生以降、休校状態が続いていますが、校長先生がお話をしてくださり、学校内の様子も見せてくださいました。校長はまだ31歳と若く、弊社のプログラムの際も積極的に意見交換をしてくださる非常に熱意ある男性です。参加者たちからはコロナ禍におけるルワンダの教育のあり方や、虐殺、ジェンダー、中退の問題などに関して質問が挙げられました。

ホストファミリー

最後にホストファミリーの家にもお邪魔して、家庭料理をエア試食(食べている様子を中継)したり、室内の様子をエア内見したり、1994年の虐殺を生き延びたホストマザー、フェーザさんのお話を伺ったりしました。先日のニャマタ虐殺祈念館ではあまり詳しい話を聴くことができませんでしたが、ここでは当時の悲惨な様子を語ってもらうことができました。フェーザさんも実際に命の危機にさらされるような経験をされており、当時の様子を思い出して顔をしかめたり声をつまらせてしまうシーンも。彼女の状態を気遣いながらお話を伺ったつもりですが、「まだ26年」といういまと地続きの惨劇であることをまざまざと感じさせられました。彼女には弊社のプログラムで何度も虐殺の話をしていただいているのですが、歴史や真実を学ぶためとはいえ、辛い記憶を蘇らせてしまうことの重みは常に忘れてはならないと痛感しています。

教育関係者との対話(9月11日)

最終日はキガリ市ニャミランボ(Nyamiranbo)にてネイチャーナーサリースクール(Nature Nursery School)を運営する学校法人ファイブホーリーピラーズ(Five Holy Pillars)理事のイルデフォンス(Ildephonse)さんとのお話。

学校法人理事イルデフォンスさんとのお話 ※画像はイメージです。

以前児童養護施設で青年海外協力隊とも協働していたイルデフォンスさん。自身の体験を交えながらルワンダ教育の現状やあるべき姿を教えてくださいました。参加者からの質疑応答も含めてほとんど話が途切れることなく、約3時間の濃密な時間をともに過ごすことができました。最後に「昔JICAボランティアが歌っていたあの歌をみんなに歌ってほしい!『大きな栗の〜木の下で〜♪』っていう歌!」という予想外のリクエストもあり、オンラインフィールドスタディはにぎやかに幕を閉じました。

オンライン体験学習の機会拡大を

▼立教大学異文化コミュニケーション学部オンラインフィールドスタディ(2020年)まとめ
・9月2日:首都キガリ(市街地、ショッピングモール、バイクタクシー疑似体験)
・9月4日:ニャマタ虐殺祈念館
・9月8日:農村生活、小学校視察(公共水栓視察、小学校校長との対話、農村家庭視察、虐殺当事者のお話)
・9月11日:教育関係者との対話

本来このフィールドスタディは、実際に現地を訪れておこなわれるはずでした。しかし新型コロナウイルスの影響で渡航は中止に。その代替案としてオンラインでの体験学習をサポートさせていただきましたが、参考書やネットサーフィンからは決して得られない手触り感のある情報を得ていただけたのではないかと思っております。

気軽に海外を訪れることのできない状況は今後もしばらく続くでしょう。しかし、日本にいながらでも現地の様子を見たり、現地の人々と交流したりできることはすでに証明済みです。「海外には行けないから」と諦めてしまうのではなく、発見と感動のあるリアルな情報をひとりでも多くの方々に届けられるよう、弊社も取り組みを拡大して参ります。

今回のオンラインフィールドスタディのように日本とルワンダをつないだ学習や研修に興味をお持ちの方は、当サイトをご参照のうえ下記リンクからお問い合わせください。

▼お問い合わせ(弊社アフリカノオト、担当タケダノリヒロ)
お問い合わせ | Africa Note

▼今回オンラインフィールドスタディを担当させていただいた、立教大学の異文化コミュニケーション学部さまのサイトです。
異文化コミュニケーション学部 | 立教大学

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