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アリス物語4|ジェンダー平等国ルワンダのリアル〜夫の正体〜

前回までのあらすじ

ルワンダ人女性アリスは一児の母。当社アフリカノオトのホームステイプログラムで、ホストファミリーを務めている。アリスはホームステイの迎えに30分遅刻。理由を聞くと、夫が明け方に酔って帰り、朝まで大変だったとのこと。アリスは「夫は良い人」というが果たしてほんとうだろうか……。

  1. アリスの物語を通して知る、ジェンダー平等国ルワンダのリアル1〜安定収入の確保〜
  2. アリスの物語を通して知る、ジェンダー平等国ルワンダのリアル2〜仕事と家庭の両立〜
  3. アリスの物語を通して知る、ジェンダー平等国ルワンダのリアル3〜夫はほんとに良い人?〜

※プライバシー保護のため画像はAI生成したもの、人物名は仮名を使っていますが、内容は実話です。

家を追い出されるアリス

ある日仕事中に、突然アリスから電話がかかってきました。

家を追い出されたの……。夫が怒って鍵をかけてしまって。息子とふたりでどうしようもなくて。友だちの家に行くにもお金がないから、すこしだけでもお金を送ってもらえない?」

電話越しの声はほんとうに意気消沈していて、いまにも消えてしまいそうでした。さすがに家に帰れないのはまずいと思い、すぐに交通費や食事に使える程度のお金を送金。

とりあえずはそのお金で友だちの家に行って、その日はなんとかなるとのこと。しかし直接会って詳しく話を聞いてほしいとのことだったので、翌日に会うことに。

夫の正体

待ち合わせ場所のカフェにアリスが現れて、すこしほっとしました。まちがいなく大変な目には遭っているものの、こうして会いに来れる状態ではあるのだと。そこであらためて何が起こったのかを話してくれました。

実は夫とはずっとうまくいっていなかった。それなりに給料の高い仕事をしていて、外では良い顔をしているから気付けなかったけど、結婚して数日でほんとはどんな人かがすぐにわかった。

酔っ払って明け方に帰って来ることはしょっちゅうあり、帰って来るまで待っていないといけない。暴力をふるわれることもある。職場は地方にあるからキガリの家にいることのほうが少ないけど、その地方で不倫して別の家族をもっていた。息子にとっても良い父親じゃないけど、息子を連れて出ていこうとしている。キガリの家は家賃を滞納していて、もうすぐ大家さんに追い出されてしまう。

人間とは思えないほど酷いことをされることもある

ルワンダにはこういう目に遭っている女性はたくさんいる。

もう私は男性を信じられない。

声をつまらせ、涙を流しながら、話してくれました。

そんな夫からは早く離れたほうが良いと思い、実家のムシャに帰れないのかも聞いてみました。それなら持ち家だから家賃もかからないし、安心して暮らせるんじゃないかと。

するとアリスはこう続けました。

あなたもわかると思うけど、村では悪い噂がすぐ広まるの。もし帰ったらきっとお母さんにも迷惑をかける。お母さんを傷つけたくないからムシャには帰れない

でも今までずっとずっと我慢してきたけど、もう限界。だから家を出ようと思う。居住スペースが奥にあるような個人商店を開こうと思ってる。それなら働きながら息子の面倒を見ることもできるから。

アリスなりに一生懸命考えて出した結論でした。とにかくまずは息子とふたりで安全に暮らせる場所を確保することが最優先。このままではふたりの命すら危ないと思い、家とお店にできるような物件が見つかったら初期費用は援助するから、と約束しました。

お金を援助してほしいという相談は各方面から持ちかけられ、そのたびにウソじゃないのか、なぜわたしが支援しなきゃいけないのかと、自問自答しています。しかし今回ばかりは迷いませんでした。それくらい今回の件は深刻だと感じたからです。

子どもを育てながらお金を稼いでいくのはまちがいなく大変だけどがんばろうねと声をかけると、こう教えてくれました。

わたしが泣いてると息子が「ママ、大丈夫?泣かないで」ってなぐさめてくれるの。あの子がいればわたしはがんばれる。

そしてすぐに物件を探しに行くと言って、すこしだけすっきりした顔でカフェを後にしました。

第5話へ続く↓
アリス物語5|ジェンダー平等国ルワンダのリアル〜開店と失望と〜

 

 

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