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初著書『アフリカに7年住んで学んだ50のこと: ルワンダの光と影』を出版しました

アフリカノオト代表、タケダノリヒロです。アフリカのルワンダで、スタディツアーや情報発信をやっております。

このたび初の著書を出版いたしました。その名も『アフリカに7年住んで学んだ50のこと: ルワンダの光と影』。

この本では著者が7年のルワンダ生活で得た学びを、50の章にまとめました。きっとあなたにも刺さる発見が、50章のなかにあるはずです。

この記事では、「はじめに」を全文公開しています。これを読んでみて気になった方は、ぜひAmazonからお買い求めください。Kindle(電子書籍)版とペーパーバック(紙)版をご用意しています。Kindle Unlimited(読み放題サービス)に加入している方は、実質0円でお読みいただけます!

はじめに

「人生の変わる学びを、アフリカから」――これが私の会社アフリカノオトの企業理念です。二〇一六年から青年海外協力隊として二年間ルワンダでボランティア。その後、二〇一八年に起業して現地でのスタディツアーや、日本向けの講演をおこなってきました。これらのお仕事を通じてわたしが伝えたいのは、ルワンダの光と影。そしてそこから見えてくるアフリカの現状や、世界共通の普遍的な教訓です。この本では七年のルワンダ生活と五年の会社経営で得た学びを、五〇の章にまとめました。きっとあなたにも刺さる発見が、五〇章のなかにあるはずです。

口にすることすら憚られるほど悲惨な過去、アフリカのなかでも異彩を放つ「強み」の多さ、それでも山積する社会問題の数々。ルワンダにはいい面もわるい面も混在しているからこそ学びが多く、正義とはなにか、幸せとはなにか、社会貢献とはなにか――とこの世界や自分自身について、考えるきっかけを与えてもらえるのです。

ルワンダとはどんな特徴をもつ国なのでしょうか。まず挙げられるのは、残念ながら「虐殺(ジェノサイド)」ということば。一九九四年に発生し、国民の約一割がなくなった大変痛ましい事件です。映画『ホテル·ルワンダ』を観て知った人や、学校の授業でならった人もいるでしょう。

そこから二〇一〇年以降、平均7%前後(!)の実質経済成長率を記録し、「アフリカの奇跡」と呼ばれるほどの復興をとげました。「アフリカのシンガポール」を目指していることもあって、街中にはごみがほとんど落ちていません。「アフリカは清潔ではなく、発展もしていない」などと思ってはいませんか? 実際そのようなイメージをもつ人は多く、高層ビルの立ちならぶ首都キガリを訪れた人は、口をそろえて「アフリカとは思えない!」と驚かれます。

イメージと違うことと言えば、気候もそのひとつ。「暑いところなんでしょう?」と聞かれることも多いですが、そんなことはありません。「千の丘の国」と言われ標高も高いので、年間を通して二〇度前後ととても過ごしやすいのです。日本人のあいだでは「アフリカの軽井沢」なんて呼ばれるくらいです。そう聞くと急に親近感がわきますよね。二〇二三年三月にはめずらしく気温が三二度まで上がり「異常な熱波だ!」と大騒ぎしていたので、いかに普段が快適かお分かりいただけると思います。

地理的にはアフリカ大陸の真ん中からちょっと右下、東アフリカに分類されます。ウガンダ、タンザニア、ブルンジ、コンゴ民主共和国にかこまれた内陸国です。陸路を通って近隣国の港と行き来するにはコストがかかるので、貿易には不向き。天然資源もかぎられているので、経済的には決して恵まれていません。

ではどうやって稼いでいるのかというと、おもな輸出品はコーヒーです。最近ではスターバックスやカルディ、ブルーボトルコーヒーなど、日本でもルワンダコーヒーを買えるお店が増えてきました。
内陸のデメリットを受けづらい分野である、観光やITにも力をいれています。ルワンダは世界的にも希少なマウンテンゴリラの生息地。そのトレッキングツアー参加のための許可証取得には、なんとひとり一五〇〇ドル――現在のレートで約二十万円(!)――もかかります。それでも多くの方がゴリラに会いに来るので、貴重な収入源となっているのです。ちなみにマウンテンゴリラはこの国の通貨ルワンダ·フランでもっとも高額な五千ルワンダ·フラン札に描かれています。日本で言うと福沢諭吉や渋沢栄一に匹敵するほどありがたがられているわけです。ゴリラすごい。

IT政策で有名なのは、One Laptop Per Child(OLPC)。「ひとりの子どもに一台のラップトップを」という教育プログラム。こちらは五百ルワンダ·フラン札に描かれています。ドローンなど先進的なテクノロジーの活用にも積極的。なにかと規制の多い先進国の企業にとっては、実証実験の場としても注目されています。

さらに特筆すべきは、ジェンダー分野。女性の国会議員の割合が世界で一番多い国が、なんとルワンダなのです。その割合は61.3%! 男女平等がどれだけ達成されているかを示す「ジェンダーギャップ指数」では、毎年十位前後にランクインしています。「途上国には先進国が色々と教えてあげないといけない」と考える人もいるでしょうが、むしろ我々がルワンダから学ぶべきこともたくさんあるのです。
このようにたくさんの強みがある国ですが、未解決の課題もまだまだ残っています。『第五回人口·住宅統計調査 ルワンダ 二〇二二年』からおもな指標を抜粋すると、

  • 改善された飲水へのアクセスがある家庭:82.3%
  • 主要な採光源として電気を使っている家庭:61%
  • インターネットを使える家庭:22.8%
  • 中等学校(セカンダリースクール)就学率:22.3%
  • 平均寿命:69.6歳

蛇口をひねればきれいな水が出てくることや、夜でも家が明るいことは当たり前ではないのです。「IT立国」を目指していても、インターネットが使えなければ、受けられる恩恵は限られます。勉強したくても家庭の事情や金銭面で諦めざるを得ない人は多いですし、わたしの親世代はこの国だと「終活」をする年代にあたるのです。

そんなルワンダについて語ったこの本から得られる価値は、以下の三つ。一つ目は「分かる」。現地に行ったことがなくても、その様子を解像度高く想像できるようになります。二つ目は「背中を押される」。「アフリカに対して何かしたい。でも何をすればいいかわからない」という漠然とした想いが、「この問題にこうアプローチできるかも」とより具体的に考えられるようになります。最後の三つ目は、「ワクワクする」。知らない世界を知る楽しさ、未来の可能性への希望、そしてその変化を起こすのは自分かもしれない、という期待感を感じてもらえたらと。

第一部では「IT立国」を目指すルワンダの経済の現状について解説しました。第二部ではルワンダ虐殺の概要、背景、影響について。第三部は成長の秘訣とビジネス環境について。第四部は教育と人材開発について。第五部は女性とジェンダーの現状。最後の第六部は生活·文化·観光について書きました。最初から順番に読んでも良いですし、お好きなところから読んでいただいても構いません。
アフリカに興味があるけれど行ったことがない大学生、途上国進出を検討している企業の担当者、アフリカや国際協力と関わりはないけれど、とにかく知的好奇心が旺盛な人。そんな人たちの顔を思い浮かべながら、この本を書きました。本書があなたにとって、「人生の変わる学び」への第一歩となりますように。

正直この「はじめに」だけでも、ルワンダについてだれかと語るうえでは十分すぎるほどの情報を得ていただけたこととおもいます(そもそも「ルワンダについてだれかと語る」というイベントがめったに発生しないのですが)。しかし、興味深いのはここから。副題に「光と影」と書いているとおり、そのコントラストの強さに、ルワンダを学ぶべき理由があるのです。

ルワンダのことなんか知っても役に立たない、と思われるかもしれませんが、ひとつの国を知ることで、他の国のことがよりくっきり見えるようになったり、世界とのつながりをより意識できるようになったりするもの。きっと世界が広がると思うので、ぜひお手にとってみてください。

アフリカに7年住んで学んだ50のこと: ルワンダの光と影』。

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