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アリスの物語を通して知る、ジェンダー平等国ルワンダのリアル2〜仕事と家庭の両立〜

前回までのあらすじ

ルワンダ人女性アリスは一児の母。当社アフリカノオトのホームステイプログラムで、ホストファミリーを務めている。キガリの薬局で働いていたが失職し、わたし(当社代表・竹田)に仕事を紹介してほしいと依頼。知人のレストラン経営者にアリスを紹介したところ、翌日から働くことが決まり一安心したが……。

アリスの物語を通して知る、ジェンダー平等国ルワンダのリアル1〜安定収入の確保〜

※プライバシー保護のため画像はAI生成したもの、人物名は仮名を使っていますが、内容は実話です。

仕事と家庭の両立

就職先が見つかって安心したのもつかの間、1ヶ月もたたないうちに、アリスがお店を辞めてしまったのです。理由を聞くと、「子どもを見てくれる人がいなくなったから」とのこと。

ルワンダでは家政婦やベビーシッター(ナニー)を雇うのが一般的。日本人のイメージだとお金持ちしかそういったサービスは利用できないイメージがありますが、ルワンダでは多くの家庭で利用されていますし、親戚や知人に子どもを預けることも日本より多いです。

しかしながらアリスの家では、子どもの面倒を見てくれていた人が来れなくなってしまい、代わりの人も見つからないとのこと。レストランに子どもを連れて行くわけにもいかず、夫も仕事があって面倒を見れないため、お店に迷惑をかけないように辞めたと話していました。

この話をおなじく子育て中のママである友人にすると、「最近キガリでそういう話よく聞くよ」と言っていました。

ルワンダでは「家族だけでなく、ご近所さんや親戚みんなで子育てをする」というイメージが強かったのですが、特にここ首都キガリでは日本と同様に人間関係が希薄になりつつあり、信頼して子どもを預ける人を見つけるのは決して簡単ではないようです。

ECDセンターの可能性

そこでアリスには「ECDセンターを利用してみたら?」と聞いてみました。

ECDセンターとは幼児期の教育と開発(Early Childhood Development)を促進するための施設。ひらたく言えば託児所のようなもので、ルワンダの教育政策の重要な取り組みのひとつとして全国に設立されてきています。

「ECDセンターってなに?」

しかしアリスはその存在すら知りませんでした。わたしは国際協力の仕事に携わっているので、こういった情報も自然と耳に入ってくるし、興味があるので自分で調べたりもするのですが、一般的なルワンダ人にはECDの存在はまだまだ浸透してないのかもしれません。

ECDセンターの説明をして、「きっと住んでいる地域にもあると思うよ。セクター事務所(村役場的なところ)に担当者がいるはずだから聞きに行ってみたら?」とうながしてみました。

するとアリスはそんな良いサービスがあるなんて知らなかった!とよろこび、すぐにセクター事務所へ。

しかしその後に返ってきたメッセージは、明るいニュースではありませんでした。

「担当者に聞いてみたけど、そこは8時から11時までしかやってないんだって。その時間だけじゃ仕事にはとても行けないよ……」

のちにECDに詳しい方に話を聞いてみたところ、この時間帯は農業従事者を前提に設定されているそうです。ルワンダではまだ農業従事者が多く、畑仕事は基本的に朝の涼しい時間帯にだけおこなわれるため、その時間に子どもを預けて畑仕事がおわったら迎えに行く、という想定。

しかしこれはもはや都市部のルワンダ人の働き方とはかけ離れてしまっています。首都キガリでは郊外を除けば畑を見つけるのがもはや難しいくらいになっており、その分朝だけでなく終日働く人も増えてきているはずです。

だから子育てと仕事を両立できなくて困っている人が増えてきているんですね。結局アリスは子どもの預け先を見つけることはできず、この問題はいったん保留となってしまいました。

第3話へ続く↓
アリスの物語を通して知る、ジェンダー平等国ルワンダのリアル3〜夫はほんとに良い人?〜

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